タイ現地採用&駐在採用格差の現実

私はタイの日系工場にトータル18年勤めていました。現地採用で7年、駐在採用で11年と両方の経験があります。

この記事では、私の生々しい実体験を元に、現地採用と駐在採用の格差を暴露したいと思います。

この記事を読むことで、現地採用と駐在者の給与&待遇の格差を実際の金額で知ることができます。

私はタイでは合計4社に勤めました。その中でも自動車部品工場では現地採用4年、駐在採用7年の両方を経験しています。同じ会社で比較対照がしやすいため、この時の実体験をベースに全て実話でお話しさせて頂きます。

現地採用の時は精神的に辛い時期を過ごしましたが、決して現地採用が悪いということではありません。あくまで私の意見と当時の実際の心情をお伝えしますので、その点はご理解頂ければと思います。

人それぞれ感じ方や考え方は異なりますが、今後タイでお仕事をされたいと思っている方々の何かしらの参考になれば嬉しく思います。 それでは、まず結論からお伝えした方が分かりやすいかと思いますので、駐在者と現地採用の収入格差を実際の金額でお伝えします。

目次

駐在者と現地採用の実際の収入格差比較

ここでは、私が実際に会社からもらっていた「現地採用時の待遇」と「駐在採用時の待遇」について包み隠さずお伝えします。

最初に補足としてお伝えすると、私が2004年に自動車部品工場に現地採用で入社した時の給与は60,000バーツでした。

会社の規程でタイ人社員に支給されていたガソリン代、食費などの手当は一切無く、携帯電話の支給もなし。管理職ということで残業手当もありませんでした。厚生年金にも加入してもらえないので、自分で国民年金を支払っていました。

実際の比較表

それでは、まずは実際の金額差をお見せします。

まずは比較表を見る上でのポイントを記載しておきます。

  • 金額は全てバーツ表記です。
  • 金額は年間の金額で記載しています。
  • プラスの数字は会社が負担してくれる金額です。現地採用のところでゼロの数字になっている部分は、自己負担しなければならない項目になります。
  • 「差異」のマイナス数値は、現地採用の方が駐在者より少ない金額として表しています。
  • 項目は手取りの収入だけでなく、福利厚生を金額で表したものも含めて表記しています。

それでは、こちらが実際の比較表になります。

※ 携帯で表を見る場合は、携帯を横にしてご覧ください。

対象大項目中項目小項目駐在現地採用差異
本人給与給与タイ国内給与816,000720,000-96,000
日本国内給与1,138,1330-1,138,133
賞与466,765180,000-286,765
小計2,420,898900,000-1,520,898
福利厚生保険社会保険9,0009,0000
医療保険30,2000-30,200
税金所得税0-64,200-64,200
住宅住宅手当324,0000-324,000
UBC28,8000-28,800
社有車168,0000-168,000
車の保険16,0000-16,000
ガソリン代84,0000-84,000
一時帰国飛行機代18,0000-18,000
その他交通費1,6000-1,600
厚生年金会社負担分497,3360-497,336
小計1,176,936-55,200-1,232,136
福利厚生保険医療保険30,2000-30,200
健康診断健康診断7,0000-7,000
一時帰国飛行機代18,0000-18,000
その他交通費1,6000-1,600
小計56,8000-56,800
総合計3,654,634844,800-2,809,834

上記では分かりづらい項目もありますので、下記に補足説明をしておきます。

補足説明

  • 「日本国内給与」は日本の口座に振り込まれる給与です。タイバーツに換算する為替レートは、2004年当時の1バーツ=3.15円で計算しています。
  • 現地採用の所得税の欄がマイナス表記になっていますが、駐在者は所得税が全額会社負担となるため、現地採用の欄をマイナス表記にしています。表記の金額は、当時私が支払っていた所得税の金額になります。
  • UBCというのは、日本のテレビが見られるサービスです。
  • 会社から駐在者に1台貸与される車は、会社が借りるレンタル料として金額を入れています。
  • 駐在者のガソリン代は月額7,000バーツで入れていますが、無制限でいくらでも使えます。
  • 私は妻がいたため、駐在の場合は妻も対象になります。
  • 駐在者の場合、一時帰国は単身者は年に1回、家族帯同者は2年に1回帰国の権利が付与されていました。

上記から分かるように、福利厚生も含めた差額を見ると、駐在者の方が現地採用より4.3倍多いことが分かります。ざっくりですが、年間で280万バーツほど差異が生まれます。

仮に20年間働いた場合の金額差

それでは、仮にこの条件で20年間働いた場合にどれだけ違ってくるかを計算してみましょう。

駐在者

3,654,634バーツ x 20年 = 73,092,680バーツ

現地採用

844,800バーツ x 20年 = 16,896,000バーツ

駐在者と現地採用の20年間の差額

73,092,680 – 16,896,000 = 56,196,680バーツ

この差額を日本円換算すると、

2004年当時の1バーツ=3.15円換算だと、177,019,542円

2025年末の1バーツ=5円換算だと、280,983,400円

なんと20年間で約2億8千万円、億単位の差額になります。

手取りではないものの、数字で表してみると、恐ろしいほどの収入格差があるということがお分かりになるかと思います。会社によって駐在者の条件は異なりますが、私の会社ではこのような待遇格差がありました。

更に付け加えると、厚生年金に加入できる駐在者と現地採用では将来支給される年金額も変わってきますし、退職金も大きく異なります。

タイで病気になった際も、加入する保険が違うため、支給される保険額に違いも出ます。

更に子供を帯同させた場合は、インターナショナルスクールに通わせる学費なども会社が負担してくれます。一時帰国費用も子供の分も会社が負担することになります。

この比較表に現れない部分もありますので、実際の格差はこれ以上になると言えます。

私はこの両方の経験を同じ会社でしました。上記は「お金」のみに焦点を当てた比較ですが、お金以外の面でも立場が低い扱いを受けていました。次の章では、私が現地採用時にどのような扱いを受けていたか、どのような気持ちで仕事をしていたかを赤裸々に語りたいと思います。

タイで働く方の何かの参考になれば、嬉しく思います。

現地採用入社時の最初の洗礼

私がタイに来て3年目の2004年当時。貯金がすっからかんになり海外で大ピンチに陥った頃、タイ北部ランプーン工業団地にある自動車部品工場に現地採用として入社することになりました。

※大ピンチになった時の経緯は私のプロフィールをご参照ください。

当時、前任の現地採用の日本人が退職したとのことで、ちょうどポジションが空いていたところでの採用でした。当時は日本人駐在者が5人おり、現地採用は私1人という状況でした。

当時は通訳/翻訳などを担当するアドバイザーというポジション。入社時、私の上司となる50代の管理部シニアマネージャーから、いきなりこんなことを言われます。

「就労ビザと労働許可証は自分で取ってきてよ。取るまでは給料半分だからね。」

最初は「この人はいったい何を言ってるんだろうか??」と意味不明でしたが、「ビザと労働許可証取得のための書類は人事部門とやり取りして準備し、自分で取得してこい」ということでした。

まだ経験不足で若かった私は素直に受け止め、手続きをすることになったのです。あまり覚えていませんが、結局取得まで時間がかかり、試用期間中の3~4か月間は給料が半分(3万バーツ)になったと記憶しています。

今の私だったら、こんな会社には絶対に入っていないだろうと思いますが。

4年間の辛い現地採用経験

その後、2004~2008年の4年間を現地採用として仕事をすることになります。気持ち的に辛いなあと感じた時の記憶が残っていますので、その時のことをいくつか挙げてみたいと思います。あくまで私の感じ方ですので、参考程度にお読みください。

具体例① ~ 夜の食事会とカラオケ

当時、毎朝日本人全員が会議室に集まり、2時間ほど経営者ミーティングをしていましたが、私もそこに毎日出席することになっていました。

会議終了後、たまに私の直属の上司であるシニアマネージャーから

「今日は夜の日本人の食事会があるから、全員~時に集合でお願いします。」

と伝えられることがありました。

私もその場にいるので、当然私も対象になると思っていました。ただ、どうやら現地採用の私1人が対象外だったようで、結局4年間一度も日本人の食事会に呼ばれることはありませんでした。

後でこの会社で駐在採用になってから知ったことですが、この食事会は会社の経費で落ちていたことが分かりました。また、食事会の後には必ずカラオケにも行っており、その経費も全て会社持ちだったようです。

数年後、それが本社に発覚し、カラオケだけは自己負担するように変わりました。駐在者の特権を私的なことに利用していた一つの事例でもあります。

現地採用だからという理由だけで私1人が同じ日本人なのに食事会にも呼ばれず、当時は疎外感があり、とても寂しかった記憶があります。同じ日本人で、同じ会社で、同じ時間働いているのになぜ?という自問自答に対し、答えが見付からない日々を過ごしていました。

駐在者からゴルフに誘われることもありましたが、とても行く気にはなれなかったことを思い出します。

具体例② ~ 駐在者のタバコの煙に耐える毎日

先程の朝の日本人経営者ミーティングですが、7~8人しか座れないほどの小さな会議室でした。駐在者5名は全員が40代後半~50代の世代(私は30代前半)。全員がその会議室で会議中2時間ずっとタバコを吸っていました。

タバコを吸わない私は、毎日2時間その5人の駐在者が出す煙を延々と吸う羽目になったのです。結局これを4年間我慢することになりました。一度社内の福祉委員会で禁煙すべきだと議題として挙がりましたが、古株の駐在者に揉み消され、会議室の禁煙には至りませんでした。

会議が終わり自分の腕のにおいを嗅ぐと、タバコのにおいが強烈に染み着いており、当時はとても辛かった思い出があります。会議室の壁はタバコのヤニで真っ黄色になってましたから。

私が駐在になって数年後にようやく会議室が禁煙されることになるのですが、入社当初の頃は駐在者がやりたい放題できる環境にあり、現地採用の私が何かを言える権限はありませんでした。

タバコを吸わない人の健康被害にも繋がることですが、立場の弱い私は我慢するしかありませんでした。

具体例③ ~ 健康診断はタイ人と一緒

会社では、社員全員が年1回、会社の負担で健康診断を受けなければなりません。

会社にもよるとは思いますが、タイ人スタッフの場合は、病院のスタッフと車が会社に来て健康診断をしてくれます。一方、日本人の場合は、大手の市立病院に行って健康診断を受けることができます。

健康診断の内容ももちろん日本人の方が充実しており、金額も高額な健康診断を受けることができるようになっています。

私は現地採用であったため、日本人一人会社でタイ人スタッフの列に並んで健康診断を受けていました。タイ人と一緒に並んでいた時のむなしさを感じた記憶は、今でも忘れずに残っています。

具体例④ ~ 鈴木の給料が高すぎる!?

入社して1~2年が経過した頃、タイ人マネージャーの一人が「鈴木の給料が高すぎる」と言っているというのが耳に入りました。

アドバイザーという中途半端なポジションで、まだ大事な役割も与えられていなかったこともあったとは思いますが、その時は結構ショックを受けた出来事でした。

私からすれば、駐在者と比べたら自分はかなり低い待遇という認識しかなかったので、そういう見方を自分だけがされるのが驚きでした。一部のタイ人からは、私を日本人として見ていなかったのだと思います。

数年後、私はそのタイ人マネージャーのずっと上のポジションになることになるのですが、日本人の社内での立場や見られ方というのは、仕事にも影響する重要な部分になります。

部下となるタイ人が言うことを聞くか、聞かないかというのは、指示をする日本人が偉いか、偉くないかのどちらに見られるかが大きく影響します。その点、現地採用はタイ人に業務指示をする上でも困難になる場合があります。

具体例⑤ ~ 仕事で使うツールの格差

仕事で使うツールでも格差がありました。

当時、駐在者は本社が使用しているノーツ(Notes)というパソコンのグループウェアを使用していました。基本的にはメールソフトですが、本社の会社規程を閲覧出来たり、掲示板を見られたり、休暇申請ができたりするツールです。

私は仕事で日本本社のスタッフとやり取りをすることもありましたが、このツールを使う権限が現地採用の4年間与えられませんでした。仕事で参考になる情報もノーツ上には日本語でありましたが、使うことができず、とても不便な思いをした記憶があります。

仕事で使うツールなのだから、現地採用であれ使わせればいいのに、、というのが本音としてありましたが。

またそれ以外でも、待遇差のところでも触れましたが、携帯電話や社有車も付与されませんでした。

当時の気持ち

以上、他にもたくさんあるのですが、気持ち的に辛かったなあと感じた具体例を挙げてみました。

現地採用であれ、駐在であれ、同じ日本人として同じ職場で同じ時間毎日働くことになります。入社時はあまり気にならないものの、その格差に対する精神的な痛みはボディーブローのように徐々に効いてくるものです。

そんな毎日の不満を抑えようとはするのですが、なかなか難しいのが本音でした。「同じ日本人なのに」という答えの出ない自問自答を繰り返しながら、、、

唯一メリットがあったとすれば、給料の低いタイ人の気持ちが理解できたことでしょうか。その分、タイ人との仲間意識みたいなものが生まれ、私はどちらかというとタイ人側の味方になって仕事をしていた感があります。

下の人の立場を理解するには、自分がその立場にならないと分からないものです。

やっとの思いで駐在者に

入社4年目の頃、私は経営企画部門のマネージャーとしてバリバリと働いていました。

800名の会社で全社の通訳をこなしながら、社内改革として部門収支の仕組み構築、全社事業計画策定の仕組み構築、給与計算システムの導入など、社長直下の部門で頭角を現してきた時期になります。

その頃、頻繁にやり取りをしていた日本の経営企画部門の担当者(現在は役員になっています)、タイ工場のマネージングダイレクターに実績や頑張りを評価して頂いていました。そのお二人の計らいで、ついに駐在者に採用されることになったのです。

ただ、その頃部下を持ち、実績を挙げていたにもかかわらず、新入社員として再入社する形での本社採用となりました。なので、勤続年数もゼロスタートです。そんなことで、日本の本社に半年間新入社員として研修に行くことになったのです。

日本では、30代半ばの私が大学を卒業したばかりの新入社員と一緒に黄色い帽子を被り(元々は白)、3日間の泊りがけの研修でお寺で修業をしたり、新入社員向けの講義を受けたりもしました。

正直納得いかない気持ちもありましたが、本社の優しい方々にも支えられ、何とか無事半年間の研修期間を終えてタイに戻ることになりました。

タイに戻った後は駐在待遇になり、当然のように車が1台与えられ、ガソリン代は会社負担、住居代も会社負担、携帯電話を与えられ、ワクチン接種も会社負担、健康診断も日本人と一緒に受けられるようになりました。前と仕事の内容も勤務時間も変わっていないにもかかわらずです。

同じ会社の同僚と同じく、日本人として当たり前に受けられる待遇を得た瞬間でした。

今まで現地採用ではほぼ自己負担だったものが会社負担になり、何だかすごく心強くなったというか、生活面で安心できるようになった感がありました。それと同時に同じ駐在者である日本人に対する仲間意識も芽生え、差別を受けていた惨めな感情も、徐々に薄れていったことを思い出します。

「現地採用」と「駐在採用」とでは、日々の仕事に対するモチベーション、同じ職場で働く日本人に対する気持ち、日々の生活に対する安心感などに大きな影響を及ぼすものなのだということが分かりました。

私の場合、周りがみんな駐在者だったこともあるとは思いますが、いずれにしても、やはり待遇差は大きく、精神的なダメージが日々蓄積されていったのが現実でした。駐在になるのが数年先になっていたら、恐らく転職していたかと思います。

タイでの会社選びで重視すべきこと

この記事を読まれている読者の方には、これからタイで働こうかと検討されている方、現在現地採用で働いている方、駐在として働いている方もいるかと思います。

人生でこれから仕事をしていく時間は長いです。特にこれからタイで働きたいと考えていらっしゃる方に何かお伝えできるかと考えた時、まず一番にお伝えしたいことは、会社選びが非常に重要だということをお伝えしたいです。

特にまだ若い方に関しては、現地採用で入社する場合、以下の4つの視点で会社選びをするのが良いのではと考えています。

タイでの会社選びで重視すべきこと
  • 将来駐在採用の可能性がある会社
  • タイで通用するキャリアを積める会社
  • タイ語を使う機会のある会社
  • 人脈を増やせる部門/ポジション

私はこの4つを重要視すべきだと考えています。

それでは、各項目について具体的に解説をしていきます。

1.将来駐在採用の可能性がある会社

仮に現地採用で入社する場合、採用面接の時に「将来の頑張り次第で駐在採用の機会はありますか?」と遠慮なく聞いてみてください。

通常、タイ側の社長であっても、日本人を駐在にする権限はありません。本社に提案は出来ても、決定権はあくまで日本の本社側にあります。そのため、駐在になるためには以下の両方の確認が必要になります。

  • タイ側の社長が本社に駐在採用を提案してくれそうな方かどうか(任期を終えて将来社長が変わるということを念頭に置く必要はありますが)
  • 日本の本社側に現地採用者を駐在採用に切り替える方針があるかどうか。

将来駐在採用を希望するのであれば、上記2つの両方の条件を満たすことが必要になります。

自分がいくら頑張っても、いくら実績を挙げても、タイ側の社長が日本にアピールしない限りは本社側には伝わりません。

一方、タイ側の社長がいくらアピールしても、日本側に駐在に切り替える方針が無ければ実現はしません。

ちなみに私が最後に半ば腰掛けのつもりで就職した会社からは、「年齢が高いから、駐在に切り替える予定はない」とはっきりと言われていました。

日本側とタイ側の両方の条件が揃わなければ、通常であれば駐在採用は実現しないのです。

2.タイで通用するキャリアを積める会社

いくら会社で頑張って実績を挙げても、いつまで経っても評価も待遇も変わらない可能性があります。その場合は、早めに見切りをつけて転職をする選択肢もあります。

その際に大事になるのが、「今までのタイでの経験値と培った実力」ということになります。

私も過去そうでしたが、タイで働く一番のメリットは、若くてもいきなり管理職として部下を持ち、幅広い経験を積めるところだと考えています。

日本の場合、あくまで決められた範囲の業務しかできないことが多いですが、タイではそれ以上のことが求められます。何事も日本のように上手くいかないタイでは、日本人の役割はおのずと広くなっていくからです。

ですので、仮に今の会社で評価されなかった時のために、次の転職先で通用するキャリアと実力を積める会社で働いておくことを強くお勧めします。経験できる範囲は、広ければ広いほど良いと思います。

タイで通用する実力さえ身に付ければ、いくらでもあなたを必要とする会社は出てくるからです。

3.タイ語を使う機会のある会社

会社によっては英語を共通語として使用している会社もあります。ただ、忘れないでください。ここはタイです。タイ人と一緒に仕事をすることになるのです。

タイ語が出来る日本人と、そうでない日本人を比べた時に、タイ人から頼りにされるのはどちらだと思いますか?

もちろんタイ語が出来る日本人です(仕事が出来るとか、他の要素もありますが)。

仮に我々日本人が何か英語で意見を述べてくれ、と言われた時に、日本語と英語のどちらの方が説明しやすいでしょうか。もちろん母国語である日本語になりますよね。

タイ人にしても同様で、彼らはやはり母国語を使いたいのです。英語が得意でない人であれば、尚更です。ですから、タイ人はタイ語のできる日本人に自然と集まってきます。

タイ人から相談を受ける機会が増えれば、当然社内の情報も入ってくるようになりますし、社員の困りごとや考えを知ることもできます。海外で語学ができるということは、入ってくる情報量が圧倒的に増えるということになるのです。これが仕事上で非常に有利に働きます。

タイに長くいても、全くタイ語が上達しない人をたくさん見てきています。それではもったいないので、少しずつでもタイ語を学びながら、仕事でもタイ語を使える会社を選んでほしいと思います。身に付けたものは、一生自分から離れることはありませんから。

タイ語の学習方法については長くなってしまうので、ここでは割愛しますが。

4.人脈を増やせる部門/ポジション

長い人生、同じ会社にずっと勤めるとは限りません。仮に転職するとなった場合、過去に培ったタイでの人脈が活きてきます。ヘッドハンティングされる場合もあるでしょうし、知り合いの会社を紹介してくれる場合もあるでしょう。

私は内勤が多く、外部の顧客や取引先との接点があまりありませんでした。ですので、もっと幅広く人脈を作れる部門で仕事をしていればなあと、後になって思いました。

具体的には、営業や購買などが思い浮かびますが、他の部門でも外部との接点があればどんな部門でも構わないと思います。ただし、営業でも日本人だけを相手にするような営業では、3項でお伝えしたタイ語の上達の機会が欠如してしまいます。

せっかくタイにいるのですから、日本人ともタイ人であれ外部の人間と接する機会のある部門、ポジションに就くのが理想的かと思います。

こんな会社には要注意

私のところには、タイにある日本の会社に勤めている方から、たまに下記のような相談を受けます。

  • 入社後、最初に合意した条件と異なる待遇を提示された。
  • 給与の支払いを先延ばしにするようになった。
  • 突然辞めてくれと伝えられ、解雇時の補償金も支払わないと言われた。
  • 日本人オーナーからパワハラ、セクハラを受けた。
  • 仕事で成果を挙げているのに、オーナーが全て自分の懐に入れ、社員に還元しない。

こんな会社に出会ってしまったらもう最悪です。海外にいる日本人にとっては即リスク。会社を辞めるにしても、ビザも切れてしまうし、即タイに居られなくなってしまう状況に陥るからです。

日本では、法律も厳しく、パワハラやセクハラの規制も厳しいため、社員に対して好き勝手できない環境にありますが、タイはそうではありません。

特に小さな中小企業や個人事業主の会社などの場合、日本人オーナーが全ての実権を持ち、法律に違反しなければ好きにできる部分も多くなります。本社の目も届きません。

それに加え、タイにいる日本人は頼る人もおらず、訴えたくてもどこに訴えたらいいか分からない人がほとんどなので、泣き寝入りするケースが非常に多いです。オーナーが日本人は何もできないと最初から見越している場合もあるからです。

このような会社は少ないと思いたいところですが、意外と私のところにこのような相談が多く来るので、入社時には十分注意されてください。

就業規則や雇用契約、条件などは最初にしっかりと確認しておくこと。会社とトラブルになった場合、サイン入りの文書やその時のやり取りの記録があれば後々有利になりますので、しっかりと取っておくことをお勧めします。

何かあった時の相談先を確保しておくことも必要です。

結局は人との出会い

私はタイに来て一発目でブラック企業に出会ってしまったものの、その後は人に恵まれた人生でした。

特に自動車部品工場で駐在採用を推してくださったマネージングダイレクター、今は役員になっている当時の同僚の方とは、今でもお付き合いをする仲です。当時の御恩は、一生忘れることはないでしょう。

また、今は自身の会社を経営していますが、約18年の工場で働いた経験が、今でも仕事に活きています。部下を持ち、部門の垣根を越えて仕事をしてきた経験は、タイでなければ絶対に経験できなかったことだと思っています。

それができたのも、会社選びを間違えなかったこと(最初は間違えましたが)、その会社にいる人に恵まれたことに尽きると思います。腐らずに頑張っていれば、必ず誰かが見てくれているものです。

私は決して駐在採用を推しているわけではありません。ただ、実際には格差が大きいのが現実です。将来の機会を与え、人を大事にしてくれる会社の方が、働き甲斐があるのではないかと思っています。

駐在採用になれば、数年して日本への帰任命令が来るかもしれません。ただ、その時まだタイに居たいのであれば、また現地採用に戻してもらえばよいのではと思います。

円安で現地採用の待遇も恵まれるようになりました。ただ、福利厚生や仕事上での権限の部分もありますから、会社選びは納得のいく形で決めてもらいたいというのが、私の皆様に対する思いです。 悪い会社を選んでしまい、くれぐれも日本に帰らざるを得ない状況にならないようにして頂きたいです。

会社選びで人材派遣会社に相談することもあるとは思いますが、実際に現地採用として苦労した方がいることは稀かと思います。ですので、まずはご自身でしっかり判断することをお勧めします。

お仕事の体制をしっかり整えた上で、タイでの生活をエンジョイして頂ければ嬉しく思います。

皆様にとって、この記事が何かの参考になって頂ければ幸いです。

お問い合わせはお気軽にこちらからどうぞ。

この記事を書いた人

鈴木秀明
ホタルジャパン代表取締役

大学時代にタイ交換留学。埼玉県警刑事部国際捜査課のタイ語専門通訳官の職を経て、29歳の時に単身タイに渡る。その後、上場日系企業で約18年間マネジメントに関わる。現在はタイ人弁護士の妻と日系企業様や個人様のビジネス支援をするホタルジャパン株式会社を経営。在タイ25年。タイ語はネイティブレベル。語学力だけでなく、タイ現地の管理経験も豊富。
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